30代半ばを過ぎた頃から、私の唇は季節を問わず常にガサガサに荒れ、皮が剥けては出血するという地獄のようなループに陥っていました。最初はただの乾燥だと思い、ドラッグストアで売っている高機能な薬用リップクリームを何種類も試しましたが、塗れば塗るほど唇が熱を持ち、小さな水ぶくれができるような有様でした。これが単なる乾燥ではなく口唇炎という病気であると自覚したのは、皮膚科を受診してからのことです。先生から「そのリップクリームが原因かもしれない」と言われた時は衝撃でした。調べてみると、私が長年愛用していたリップに含まれる特定の植物オイルに対して、私の体が過剰なアレルギー反応を示していたのです。接触性口唇炎という診断が下り、まずはすべての化粧品とケア用品を中止し、純粋な白色ワセリンのみを使用することになりました。しかし、原因はそれだけではありませんでした。治療を続ける中で、仕事が多忙になり睡眠不足が続くと、決まって口角から唇全体にかけて赤みが広がることに気づいたのです。血液検査の結果、私の食生活はビタミンB群が圧倒的に不足していることが判明しました。外食続きで栄養が偏り、体内の粘膜を修復する力が弱まっていたことが、慢性的な口唇炎の大きな原因になっていたのです。さらに驚いたことに、私がリラックスのために毎日飲んでいたハーブティーの成分も、特定の植物に対する交叉反応を引き起こしていた可能性があります。自分のライフスタイルを一つずつ見直し、原因となる可能性のあるものを排除していく作業は非常に根気のいるものでしたが、同時に自分の体がいかに繊細なバランスで成り立っているかを知る機会にもなりました。現在では、合成香料の入った口紅や刺激の強い歯磨き粉を避け、食事ではレバーや納豆などのビタミン豊富な食材を意識的に摂取するようにしています。また、唇が少しでも乾燥し始めたら、舐めて誤魔化すのではなく、すぐに清潔な指でワセリンを薄く伸ばして保護することを徹底しています。あの頃の、笑うたびに唇が裂けて痛みに耐えていた日々が嘘のように、今の私の唇は健康な色を取り戻しています。口唇炎は、外からの刺激と内からの不調が複雑に絡み合って起こる、体からの警告サインなのだと痛感した経験でした。同じように悩んでいる方には、まずは自己判断を捨てて、身の回りのものを疑ってみることから始めてほしいと思います。
なかなか治らない口唇炎の原因を突き止めた私の記録