私は以前から、疲れが溜まるとすぐに舌の横にポツリと口内炎ができる体質だったので、ある朝、口の中に違和感を感じた時も「またいつものやつか、チョコラBBでも飲んでおこう」と軽く考えていました。しかし、2日ほど経つと、その痛みはこれまでの比ではなくなり、鏡を見ると1カ所どころか、歯ぐきや頬の内側に小さな潰瘍がいくつも密集してできていたのです。さらに、夕方には体がダルくなり、38度を超える熱が出てきました。それでも私は、ひどい疲れが原因の重い口内炎だろうと思い込み、家族と一緒に夕飯を食べ、1歳の娘に自分の使ったスプーンで一口食べさせてしまいました。翌日、あまりの痛みに耐えかねて歯科口腔外科を受診したところ、先生から「これはアフタ性ではなく、ウイルス性のヘルペス性口内炎ですね。非常にうつりやすいので、ご家族との接触には気をつけてください」と告げられ、凍りつきました。その瞬間、昨夜の娘との食事が頭をよぎり、激しい後悔が押し寄せました。案の定、その3日後、娘は突然の40度の高熱に襲われ、泣き叫ぶような口の痛みを訴え始めました。娘の小さな口の中は真っ赤に腫れ上がり、水も飲めない状態で、結局脱水症状で入院することになってしまったのです。私の不用意な「いつものこと」という思い込みが、罪のない娘にこれほどの苦しみを与えてしまった事事実は、今思い出しても胸が締め付けられます。この経験から学んだのは、自分の症状を勝手に判断することの恐ろしさです。たとえ口内炎というありふれた症状であっても、いつもと数が違う、範囲が広い、熱を伴うといった「異変」があれば、それはうつる病気である可能性を疑わなければなりませんでした。それ以来、私は口の中に何かあれば、たとえ小さなものでもタオルを分け、家族との食器の共有を厳禁にしています。ウイルスは目に見えないからこそ、私たちの慢心や油断を突いて入り込んできます。「うつるかもしれない」という慎重さは、決して大げさなことではなく、大切な家族を守るための最低限のマナーなのだと、高い授業料を払って学ぶことになりました。今、もし唇や口の中に違和感があるなら、どうか私の二の舞にならないよう、自分自身の体を客観的に見つめ、適切な医療機関に相談してほしいと思います。
ただの口内炎がうつる病気だった私の体験記