私はもともと口内炎ができやすい体質で、疲れが溜まるとすぐに舌の先や頬の内側が痛むのが悩みでした。いつものように市販の塗り薬で対処していましたが、ある時、左側の舌の縁にできた小さな腫れが、1ヶ月経っても一向に治る気配がありませんでした。普段通っている歯科医院で定期検診の際についでに診てもらうと、先生の表情が少し曇り、これは一度しっかりとした口腔外科で診てもらった方がいいと言われました。正直、ただの口内炎で大げさな、と思いましたが、紹介された病院の口腔外科を訪れてその認識は一変しました。口腔外科の先生は、ルーペで患部を詳しく観察し、周囲のリンパ節の腫れも丁寧に触診してくれました。一般歯科の先生が「歯のプロ」であるならば、口腔外科の先生は「口の中の病気のプロ」なのだと確信した瞬間でした。結果として行われたのは、患部の一部を切り取って調べる生検という検査でした。幸いにも癌ではなく、特定の刺激によってできた良性の腫瘍であることが分かりましたが、放置しておけば大きくなって喋りづらくなったり、さらに悪化したりする可能性があったそうです。この経験で私が学んだのは、歯科と口腔外科の役割の明快な違いです。もし私が一般歯科だけで治療を完結させようとしていたら、この病変の本質に気づくのがもっと遅れていたかもしれません。一般歯科は、虫歯や歯周病といった「歯」に起因する問題を解決する場所ですが、口腔外科は「粘膜、舌、顎」といった口腔組織全体の異常を医学的に判断し、必要であれば外科的な処置を施す場所なのです。歯科医師免許という点では同じですが、口腔外科の医師は病理学や内科学的な視点をより強く持っており、目に見える症状の裏にある全身的なリスクや疾患の可能性を常に探っています。今では、歯が痛ければいつもの歯科医院へ、そして粘膜の違和感や顎の違和感が長引くようなら迷わず口腔外科へ、という自分なりの使い分けができています。自分の体を守るためには、それぞれの専門家が何を診てくれるのかを知っておくことがいかに大切か、身をもって知ることとなりました。
口内炎だと思っていた症状が口腔外科の受診で解決した話