下唇が突然腫れ上がった時、まず疑うべき原因の一つがアレルギー反応です。アレルギーによる唇の腫れは、大きく二つのタイプに分けられます。一つは、原因となる物質(アレルゲン)が直接唇に触れることで起こる「接触性皮膚炎」です。例えば、新しく使い始めたリップクリームや口紅、マンゴーやキウイといった果物の果汁、あるいは特定の成分が含まれた歯磨き粉などが原因となり得ます。アレルゲンが触れた部分に限局して、赤みやかゆみ、腫れ、小さな水ぶくれなどが現れるのが特徴です。心当たりがある場合は、すぐにその製品の使用を中止し、水で洗い流すことが重要です。もう一つは、アレルゲンを含む食べ物を摂取することで、体の中から反応が起こる「食物アレルギー」です。特定の食べ物を食べてから数分から数時間以内に、唇だけでなく、口の中や喉にかゆみや腫れを感じる「口腔アレルギー症候群」もこの一種です。リンゴやモモ、サクランボなどの果物や、トマトなどの野菜を生で食べた時に起こりやすいとされています。また、エビやカニ、そば、ピーナッツなど、全身に重篤な症状(アナフィラキシーショック)を引き起こす可能性のあるアレルギーでも、初期症状として唇の腫れが現れることがあります。唇の腫れの他に、息苦しさやじんましん、腹痛などの症状が伴う場合は、迷わず救急車を呼ぶ必要があります。アレルギーによる唇の腫れは、原因を特定し、それを避けることが最も重要です。原因がわからない場合は、アレルギー科などで検査を受けることをお勧めします。