下の歯の本数が何本あるか、気にしたことはありますか。実は、この下の歯の本数やその状態が、お口の中だけでなく全身の健康にまで影響を及ぼすことがあるのです。下の歯は、上の歯と噛み合うことで、食べ物を咀嚼するという重要な機能の土台となっています。永久歯は親知らずを除いて下に14本、上に14本ありますが、この上下の歯が正しく噛み合うことで、私たちは硬いものでも効率よくすり潰し、消化しやすくすることができます。もし、虫歯や歯周病、あるいは事故などで下の歯を一本でも失ってしまうと、このバランスが崩れ始めます。失った歯の向かい側にあった上の歯は、噛み合う相手をなくして徐々に下に伸びてきたり、失った歯の両隣の歯が隙間を埋めようと傾いてきたりします。こうして少しずつ全体の噛み合わせが狂っていくと、特定の歯に過度な負担がかかり、さらなる歯の喪失につながる悪循環に陥る可能性があります。さらに問題は口の中だけにとどまりません。噛み合わせのズレは、顎の関節に負担をかけて顎関節症を引き起こしたり、頭痛や肩こりの原因になったりすることも指摘されています。また、しっかりと噛めないことで食事の内容が偏り、栄養バランスが崩れたり、脳への刺激が減少して認知機能に影響を与えたりするという研究報告もあります。下の歯が何本そろっているか、そしてそれらがきちんと機能しているか。それは、あなたの現在の、そして未来の健康状態を映し出す鏡のようなものなのです。日々のケアはもちろん、もし歯を失ってしまった場合は放置せず、適切な治療で噛み合わせを回復させることが、全身の健康を維持するために不可欠です。