下の歯の本数を意識する。それが口腔ケアの始まり
下の歯が何本あるか、あなたは即答できますか。おそらく、多くの人が正確な本数を把握していないのではないでしょうか。しかし、この自分の歯の本数を正しく知るという行為こそ、質の高い口腔ケアを実践するための重要な第一歩なのです。なぜなら、自分の口の中にある歯の「定数」を知らなければ、歯が一本失われたとしても、その事実に気づくことすらできないかもしれないからです。歯は一本失われると、ドミノ倒しのように全体のバランスが崩れ始めます。噛み合う相手を失った歯が伸び、隣の歯が倒れ込み、全体の歯並びと噛み合わせが徐々に狂っていきます。この変化は非常にゆっくりと進むため、日々の生活の中ではなかなか気づきにくいものです。気づいた時には、すでに複数の歯に問題が広がっていたというケースも少なくありません。自分の下の歯は親知らずを含めて何本あるのか。それを知ることで、初めて自分の口の中の「正常な状態」を定義できます。そして、その状態を維持しようという意識が芽生えます。日々の歯磨きも、ただ漫然と行うのではなく、「私の14本の歯をすべてきれいにしよう」「一番奥の親知らずは特に丁寧に磨こう」というように、具体的で明確な目標を持つことができます。また、定期検診で歯科医に「下の歯の本数は変わりないですか?」と質問することで、自分では気づかない初期の変化を発見するきっかけにもなります。歯の健康を守ることは、単に虫歯を作らないということだけではありません。すべての歯が本来あるべき場所に存在し、正しく機能している状態を維持することです。そのために、まずは自分の下の歯の本数を数え、記憶することから始めてみませんか。