ストレスが下唇にサインを出す免疫力と口内炎
仕事の締め切りが近い、人間関係で悩んでいる。そんな強いストレスを感じている時期に限って、決まって下唇に口内炎ができる。そんな経験はありませんか。これは気のせいではなく、ストレスと口内炎には非常に密接な科学的関係があるのです。私たちの体は、ストレスを感じると、それに対抗するためにコルチゾールというホルモンを分泌します。このコルチゾールは、短期的には体の活動を活発にするなどの役割がありますが、慢性的なストレスによって過剰に分泌され続けると、免疫システム全体の働きを抑制してしまうという副作用があります。口の中には、もともと何百種類もの細菌が常に存在しています。普段は免疫システムがこれらの細菌のバランスをコントロールし、悪さをしないように抑え込んでいます。しかし、ストレスによって免疫力が低下すると、このバランスが崩れ、特定の細菌が異常増殖しやすくなります。そんな時に、うっかり唇を噛んでしまったり、わずかな傷ができたりすると、普段ならすぐに治るはずのものが、細菌の格好の侵入口となり、炎症を引き起こして口内炎へと発展してしまうのです。つまり、下唇にできる口内炎は、単なる口の中のトラブルではなく、「あなたの心と体は今、限界に近いですよ」という体からの悲鳴、重要な警告サインなのです。口内炎ができた時は、薬を塗って痛みを抑えるだけでなく、なぜ今できたのか、自分の生活を振り返ってみることが大切です。十分な休息をとる、リラックスできる時間を作る、誰かに悩みを相談するなど、ストレスの根本原因と向き合うことが、繰り返す口内炎の鎖を断ち切るための最も効果的な治療法と言えるでしょう。