朝、鏡を見て驚いた。下唇が普段の倍近くに腫れ上がっている。痛みやかゆみはないけれど、たらこ唇のようになっていて見た目にも気になる。このような突然の下唇の腫れには、様々な原因が考えられます。最も多いのが、アレルギー反応です。特定の食べ物、例えば果物や甲殻類、ナッツなどを食べた後に腫れる場合は、食物アレルギーの可能性があります。また、新しく使い始めたリップクリームや口紅、歯磨き粉などが肌に合わず、接触性皮膚炎として腫れを引き起こしていることもあります。次に考えられるのが、物理的な刺激や外傷です。寝ている間に無意識に唇を噛んでしまったり、歯ぎしりをしたり、あるいは何かにぶつけたりすることで、組織が内出血や炎症を起こして腫れることがあります。歯の矯正器具が当たって慢性的な刺激になっているケースも少なくありません。ウイルス感染も原因の一つです。特に口唇ヘルペスは、ピリピリとした痛みの後に水ぶくれができ、唇が腫れるという特徴的な症状が現れます。これは一度感染すると体内に潜伏し、疲れやストレスで免疫力が落ちた時に再発を繰り返します。さらに、原因がはっきりしない突発的な腫れとして「クインケ浮腫」という血管性のむくみもあります。これはストレスや疲労が引き金になることがあると言われていますが、数時間から数日で自然に消えることが多いです。このように、下唇の腫れと一口に言っても、その背景は多岐にわたります。まずは直前の行動や食事、体調の変化などを振り返ってみることが、原因を探る第一歩となるでしょう。